「矛盾」という言葉は皆さんご存知だと思います。 「つじつまの合わないこと」という意味で日本でも一般的に使われています。 また、中学校の国語の授業で読んだことがあるという方もいると思います。 盾と矛を売る商人が出てきて「この盾は何をもってしても突き通せない」「この矛には突き通せないものはない」と言う。 そして傍らから「じゃあその矛でその盾を突き刺してみな」と言われて商人は何も答えることができなかったと。
多くの方が知る「矛盾」の話はこれで終わりだと思います。 しかし、韓非子はこの盾と矛の話が言いたかったわけではありません。 自分の主張を分かりやすいたとえ話にしたときに「矛盾」の話を出したに過ぎません。 ということは、「矛盾」の話の前後を見れば、韓非子の真の主張が見えてくるということになります。
韓非子の中には難一、難二、難三、難四と四つの「難」があります。 「難」では最初に歴史的事実を述べ、或曰の後から持論を展開する形式をとっています。 ここでは「矛盾」の話が入っている難一から段落をひとつ抜き出して見てみましょう。 韓非子の思想の根底には儒家への批判と法の遵守があります。 それに注意して見ていきましょう。
| 课文 |
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历山之农者侵畔,舜往耕焉,期年,甽亩正。
河滨之渔者争坻,舜往渔焉,期年,而让长。
东夷之陶者器苦窳,舜往陶焉,期年,而器牢。
仲尼叹曰:“耕、渔与陶,非舜官也,而舜往为之者,所以救败也。
舜其信仁乎!乃躬藉处苦而民从之,故曰:‘圣人之德化乎!’”
或问儒者曰:“方此时也,尧安在?”其人曰:“尧为天子。”
然则仲尼之圣尧奈何?圣人明察在上位,将使天下无奸也。
今耕渔不争,陶器不窳,舜又何德而化?
舜之救败也,则是尧有失也。
贤舜则去尧之明察,圣尧则去舜之德化,不可两得也。
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| 拼音: 訳文: |
話の流れを見てみましょう。
はじめに舜が達成した三つの偉業を述べています。 三つとも悪い状況を好転させた偉業です。 孔子が舜の偉業を称え、舜の徳のすばらしさを述べます。 それに対し、ある人(韓非子本人とされる)が尭の所在を問います。 尭はそのとき、天子の位にありました。 孔子は尭も徳のある天子であるといっていますが、徳のある天子がいるのに悪い状況が発生するのはどういうことか、という疑問がわいてきます。 聖人である尭が天下を支配しているならば悪い状況は起こりえません。 ということは舜が三つの偉業を成し遂げるという事態も起こりえません。 舜が悪い状況を正すということは、尭に非があるがゆえに悪い状況が発生し、成り立つことです。 「舜が聖人である」「尭が聖人である」という二つの事象が両方とも成り立つことはありえません。
ここで話の内容を分かりやすくするたとえが登場します。 有名な盾と矛を売る商人です。 次のページから見てみましょう。